電子レンジ

で、コンビニのチキンカレーを温めようと、扉をあけた瞬間、鼻がもげるような臭いが飛び出してきた。


幼き日の通学路、魚屋の道で死んで腐敗していた猫を発見したときのことを思い出す。あれも夏の日だった。それと同じ臭いが、我が家の電子レンジから漂い出したのだ。


強烈である。だが、臭いの元が見付からない。この、大便よりひどい臭いを気のせいだとごまかすのも、かなり無理がある話しではあるが、目の前のカレーが食べたかったので、レンジの電源をオンした。


すると、くるくる回り始めたカレーの近くで、花林糖大の物質がいっしょにくるくると回転していたのだ。内部のライトが点いたため、先ほど発見できなかった、この異物に気づくことができたようだ。


それは懐かしい、1ヶ月ほど前に食べたかもしれない、魚のすり身を磯辺あげ風にした冷凍食品であった。


ひとつだけ、レンジの中に取り残したようだ。


長い間、この暗闇で孤独に打ちひしがれながら、腐っていったんだね。その辛さを訴えるかのように、レンジを開閉すると、いまでも腐敗臭が漂ってくるというわけ。


レンジの中で溶剤を膨らませて、内部を掃除するグッズを買ってこようか……。